第2回 ウェブマーケティングセミナー報告

菅野印刷興業株式会社 主催


儲かるウェブマーケティング徹底活用講座


平成21年6月3日(水) 14:00~17:30
黒部市民会館 1階 102会議室


6月3日(水)、富山県黒部市の黒部市民会館において、菅野印刷興業株式会社主催「儲かるウェブマーケティング徹底活用講座」を開催しました。
講師としてお招きしたのは、株式会社インターロジック代表取締役、原田光治氏です。
本セミナーでは、100年に一度といわれる不況のなか、ビジネスにおいてインターネットが大きな影響力を持つようになっていること、企業活動に不可欠な存在となっていることを踏まえ、インターネットの戦略的活用術を講演いただきました。
セミナーの内容を簡単ですが以下にまとめましたので、ご参考にしていただければ幸いです。今回残念ながらご参加いただけなかった皆様にも、この内容をご覧いただき、次回セミナーのご参加を是非ともご検討いただきますよう、お願い申し上げます。

はじめに  主催者あいさつ

4月3日に開催した第1回セミナーにおいて、参加された方々からご好評をいただき、本日、第2回のセミナーを開催できることをたいへんうれしく思います。
景気悪化の影響で、多くの大企業が赤字に転落し、先日アメリカ発展の象徴とも言われたGMも破綻しました。大企業であれば救済の手もありますが、我々のような中小企業にとっては非常に厳しい時代です。しかし、これを「100年に一度のチャンス」と捉えて成長している企業もあります。
印刷業においても、15世紀、グーテンベルクによって活版印刷術が発明され、今日まで発展してきましたが、デジタル化が進んだことでプロとアマの差がなくなってきています。デジタルという意味では、印刷も、インターネットも近い関係にあり、当社もWEB事業に取り組んできました。
数年来、ご縁があって原田先生とお付き合いさせていただいています。ご参加の皆様も、ぜひ本日の講演をご参考にしていただき、一緒に勉強していっていただければと思います。




1.新たなコミュニケーションの世界
 ――― インターネットの影響力が拡大、消費者が主導権を握る。

WEB1.0からWEB2.0に移行したここ3年くらいの間に、ルールが大きく変わり始めています。CGM(コンシューマー・ジェネレイテッド・メディア)という現象が世の中を大きく変えているのです。
ブログが登場するまでは、ホームページはつくるのが大変でした。メーカーから消費者へ一方的に情報(広告)が流されていました。しかし、ブログによって、誰でも簡単にホームページを作れるようになり、消費者がインターネット上で商品や企業を評価する時代になり、それが大きな影響力を持つようになってきたのです。
SNSにより情報の横方向への伝達スピードが速くなったことに加え、購買のプロセスも変化しています。インターネットで検索し、他の消費者の書き込みを読んで、価格比較サイトで一番安いものを探して買っています。店頭に行くのは実際の大きさなどの確認だけです。このように商売のルールが大きく変わっています。変えているのはインターネット、CGMです。皆さんの会社でインターネットを使わない理由はあるでしょうか。
ホームページのつくり方も変わってきています。検索エンジンが発展途上だったころは、キーワードを打ち込んでも目的のホームページが表示されることは稀でした。そういう時代のホームページはボリュームを多くしたほうが検索で上位になるということで、ひとつのサイトに多くの情報量を入れておくというつくり方をしていました。
しかし、今は逆です。検索エンジンの性能が上がり、インターネット利用者の90%が、検索エンジンからホームページに入ります。そうなってくると、検索で打ち込んだキーワードと、表示されるホームページが合致しないと、見てもらえません。トップページに目的の情報がないと、すぐに帰ってしまいます。ひとつひとつのキーワードに合ったホームページ制作が、これからの主流です。これを「ゲートウェイ戦略」と言います。
商品や事業のテーマごとにホームページをつくることが大事です。そのために、自社の事業のテーマを見つけることです。そして、消費者がどのような関心を持っているか、どのような言葉で検索されているかの研究が必要です。
インターネットは「言葉」の世界です。そして、科学的に分析すればいろいろなことが分かります。自社のコンセプトを反映するような「言葉」を見つけ、テーマごとにホームページをつくることで、より高い効果を発揮させることができます。

2.ウェブマーケティング
 ――― 計測と分析によって、ホームページの効果を高めていく。

敵を知るための分析ツール
実際にインターネットでどのようなことができるかをご紹介していきます。ウェブマーケティングというのはインターネットを使って商品を売ったり、競合会社を調べたり、自社のホームページを運営し、その結果どう改善したらいいかを調べたりすることです。方法として、①競合ベンチマーク、②自社サイトの分析、③トレンド調査、④販促・集客の4つがあります。
まず、競合ベンチマーク。ブロードエントリー(http://broadentry.com/rankingchecker/)を使います。分析するサイトのアドレスと、検索ワード候補を打ち込むと、実際のサーチエンジンでの順位が表示されます。どの言葉に力を入れているかが分かります。
さらに、ザ・サーチツール(http://tools.the-search.jp/)を使うと、サイト年齢やどんなキーワードが埋め込まれているかを分解して見ることができます。競合会社のホームページを分析して、キーワードが自社と同じだったら、そのキーワードを避けるか、競合以上にそのキーワードに広告費をかけるか、という対策が考えられます。初めて聞く方には、なかなか分かりづらいかもしれませんが、インターネットでこういうことができる、ということをまず知っておいてください。
もうひとつ、被リンクの状況も調べることができます。ツールとして、ハナサキガニ(http://hanasakigani.jp/)があります。どういうところと繋がりがあるか、また、リンクで飛んでくる可能性などの力関係も見ることができます。
従来の広告とインターネット広告とは「効果を科学的に分析できる」という点で一線を画します。計測・分析の結果を自社のホームページに反映させていくことで、期待通りの効果が得られるのです。

アナリティクスを使ったネット戦略
次に自社サイトの分析です。ホームページは制作して、アップしただけでは5~10%ほどの効果しかありません。PPC広告をして40%。残りの50%は何かというと、どういう言葉で検索され、どのページが良く見られ、どのページを見た人が商品を買っているかを分析して、研究することです。
アクセス解析ツールとして、これまで「グーグルアナリティクス」が一番有名でしたが、5月26日にヤフーも「ヤフー!ウェブアナリティクス」をリリースしました。これらのツールを使うと、直帰率やコンバージョン(購入や資料請求など)のデータを、すべて見ることができます。このデータを分析していくことで、どのようなホームページにしていけばいいかが自ずと見えてきます。
分析は自社でももちろんできますが、専門業者に委託するほうが賢明です。PPC広告から、どのキーワードで検索した人がホームページに来れば、一番売れるのか、そのシナリオを見極めて、その流れに沿ったホームページに改善していきます。LPO(ランディング・ページ・オプティマイゼーション)という考え方で、閲覧者を目的ページへ誘導してコンバージョン率を高めるものです。このウェブマーケティングの手法をマスターすれば、ホームページでどんどん収益を挙げることができます。

インターネットで社会を知る
インターネットでトレンド調査もできます。インターネットがこれだけ普及したことで、検索エンジンが世の中のトレンドを反映しているといえます。検索エンジンを利用すると、上のほうに、関連ワードが出てきています。世の中の人が、どんなキーワードでよく検索しているかがすぐに分かります。よく検索されている言葉でホームページをつくればいいのです。社会のトレンドからキーワードを見つけていきます。
ツールとして「グーグルトレンド」(http://www.google.co.jp/trends)をご紹介します。これは、グーグルが提供しているサービスで、無料です。例として、検索窓に「太陽光発電」と打ち込みます。すると、この言葉の検索数の推移を見ることができます。これを見ると、2008年の後半から検索数が増加しています。エコブームに加え、補助金も始まったことで、関心が高まっているのです。
複数の言葉を打ち込めば、比較することもできますし、業界ごとの分析もできます。
このほかにもグーグルが提供しているサービスはたくさんあります。グーグルの「サービス一覧」を見ると、ビジネスに使える素晴らしいサービスがたくさんあります。皆さんはその100分の1も使っておられないと思います。今日は、これだけのことをお話ししましたので、この後やるかやらないかは皆さん次第です。

効果のあがる広告手法
調査・分析をして、ホームページを育てていって、今度はそれを利用してどうやって集客するか、というお話に移ります。インターネット広告として、先ほどのPPC広告のほかに、あと4つ紹介します。
1つ目は、アフィリエイト。アフィリエイトというのは、ブログなどにリンクを張ってもらい、商品や会社を紹介してもらって、実際に売れたら報酬を支払うという仕組みのことです。代表的なものとして楽天アフィリエイト(http://affiliate.rakuten.co.jp/)がありますが、こういったサイトに登録しておくことをおすすめします。
2つ目は懸賞やプレゼントサイト。「物をあげます」というと、それだけでアクセス数が増えます。プレゼントサイトから飛んできて、潜在的に興味のある人だったりすると、少なからず実店舗や会社を見にこられます。また、直接売上げに繋がらなくても、ホームページは見られるので、検索で上位に表示されるようになりSEO対策にもなります。試しにやってみる価値はあります。
3つ目はアンケートサイト。アンケートに答えてくれた人に何かあげます、というもの。サンプルや試供品などを提供することもできます。
最後に、4つ目として携帯のメールマガジンの活用をお勧めします。「メルマガなんて見ない」と皆さん言われますが、それはやり方が悪いのです。見られるメルマガの配信方法はちゃんとあります。個別配信の販促の方法として、「RF分析」についてご説明します。
顧客を、R(Recency:直近購入日、最後の利用日)、F(Frequency:累計購買回数)でグループ分けして、それぞれに応じた文面を考えます。優良顧客と、不満発生客とでは、働きかけの方法は変えていかなければいけません。この区分けを明確にしてメルマガを送れば、効果はあがります。それを面倒がって一斉に送ってしまうから読まれないのです。

3.ホームページを育てる
 ――― ホームページを「事業」と捉え、社員全員で取り組む。

製造業の皆さんには、インターネットは遠い世界のように思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、そんなことはありません。インターネットで、全国から注文を取っている会社もあります。海外に進出したところもあります。
めっき職人(http://sos.sanwa-p.co.jp/
東海バネ工業(http://www.tokaibane.com/
ICHIROYA(http://www.ichiroya.com/
インターネットで成功するのは一部の大企業だけ、というのは過去の話です。今はこのようなサイトが安く作れるので、30~50万円くらいで、すぐに始めることができます。今日お話ししたようなノウハウを勉強して、取り組んでいけば、必ず結果を出せます。
ただし、ホームページは育てなくてはいけません。作って置いておくだけではすぐに腐ります。SEO対策の点からも、更新が大事です。CMS(コンテンツ・マネージメント・システム)によって、自社で更新できるようにしておくことが絶対必要です。
ホームページが「広告」だと思っている会社は、全部失敗しています。ホームページは「事業」です。今、現実にやっている他の事業と同じです。そういう考えのもとで、全社員が参加できる仕組みを作って、ホームページに取り組んでいけば成功します。
コンテンツは、常に新鮮なものを載せておかなければ、見にきた人に飽きられてしまいます。自分たちで更新して、ホームページを育てていきます。私が関わった地域活性化サイトで石見問屋(http://iwamidonya.jp/)というものがありますが、1年ぐらいで、とてもいいサイトに育っています。これは最初、私たちがフレームだけ差し上げて、あとは全部自分たちで更新されています。地元の職人さんなど一芸に秀でた人を紹介していて、3人ぐらいで始められたのですが、だんだん増えていって、たくさんの人が関わるようになって、コンテンツが価値を持つようになってきました。このサイトから商品もたくさん売れています。なにしろ、コンテンツが新鮮で、面白い。だから、見てもらえるのです。
最後に、インターネット上の接客力についてです。ホームページを見にきてくれた人たちに、ファンになってもらうためのポイントを5つ挙げました。
①リッチコンテンツ。先ほども見ていただいた動画です。文字を読むよりも、動画で見る時代になっています。②実績集。どのような業種でも実績をまとめたページが見られています。③比較。比較サイトを参考にする人が多いので、何らかのテーマで比較できたらアクセス数を増やせます。④Q&A。これも見る人が多いので必要です。⑤キャンペーン。アクセスのきっかけになります。
これらのことで接客力が高まり、滞留時間が長くなるので、購入や資料請求などに繋がる可能性も高くなるのです。

次回のセミナーへの導入として、クラウドコンピューティングの話をします。グーグルのツールを使えば、ソフトウェアをダウンロードしなくても、ブラウザだけでカレンダーやドキュメントなどが使えます。これを知っている人と知らない人、使う人と使わない人の格差がこれからどんどん広がっていきます。これまでは、このような便利なツールは一部の大企業しか使えなかったかもしれません。しかし、グーグルのサービスは無料です。これらを他社に先駆けて導入したところが、伸びているのです。
クラウドには、「雲」という意味のほかに、「集合知」という意味もあります。これからの時代は、カリスマ経営者がひとりで会社を牽引していくのではなく、全社員が参加して会社を伸ばしていく時代であり、インターネットの世界も「集合知」で成長していると言えます。皆さんもインターネットを使って、多くの人と情報を交換しながら、また社員みんなで知恵を出し合いながら、成果を出していただければと思います。





【座談会】

質問:(PPC広告に関して)これから違うキーワードにも参入しようと思うが、判断材料としてどのようなことがあるか。
単純に言って、市場規模が小さいほうが戦いやすいと言えます。競合が少ないほうが検索上位になりやすいからです。ただ、キーワードを絞っていった場合、そのテーマに特化したサイトが既にあると思うので、違った戦略が必要です。趣味の世界になると、マニア向けの相当なコンテンツも必要になり、先行して存在するサイトに対抗するのは至難の業です。
視点を変えて、テーマに対してプラスアルファの「言葉」をつけます。「激安」「早い」など、独自の強みを見つけて、キーワードに加えていきます。「何でもできる」というのは特徴がないのと一緒です。お店と同じで、店先にどれだけお客さんが来ても、実際に買ってもらわなければ意味がありません。ターゲットを絞って、来てくれた人が確実にコンバージョンまで行けるようなサイトにしていきます。「○○に強い会社」というイメージを持ってもらうため、トップページもそのキーワードに即したものに作り変えます。
キーワードを設定するときは、日常語を使うのが大原則です。ただ、戦略としてふだん打たないような言葉を1,000語ぐらいPPC広告で買い付けるやり方もあります。これはロングテール戦略と言って、市場として小さいものでも、具体的なキーワードでその商品を検索している人は購入する確率が高いことを利用したものです。

質問:ホームページの作り方で、他と差別化できる要素は何か。
いろいろなホームページを見ていて思うのは、写真が悪いということ。ホームページだけで見せるのだから、写真ひとつひとつが重要です。可能なら、写真は「切り抜き」で使ったほうがいいと思います。コーディングが難しいので切り抜きは敬遠されていますが、見せ方を工夫することで印象が全然違います。例として、インターネットで一番売れているかまぼこ屋の鈴廣かまぼこ(http://www.kamaboko.com/)を挙げておきます。
インターネットで火がついた商品を挙げるとすれば、男前豆腐(http://otokomae.jp/)があります。フラッシュの多用は閲覧者にストレスとなるので、やめた方がいいですが、このように個性的なホームページを作れば、間違いなく話題になります。
あとは、啓蒙型サイト。情報をたくさん集めてオープンにして、お客様が賢くなるサイトです。そういうサイトに人は集まってきます。


コメント

このブログの人気の投稿

創業100周年記念 社員感謝の集い

社員旅行にいってきました(2023春)

第75期経営計画発表会